熊おじさん さん 定年退職してから、自宅でコーヒーをハンドドリップするのが毎日の楽しみになった。リビングをゆっくりと満たしていく豊かな香り。そっと目を閉じると、若き日の山の記憶がよみがえってくる。 私は地方の高校を卒業し、東京の大学に進学する...
サボテン さん 20代の頃、私はバリバリ仕事に打ち込んでいた。 責任ある立場につき、新人の指導を一任されるなど、社内の評価も上々。口では「あ~忙しくて大変」とぼやきつつも、大きなやりがいを感じ、充実した毎日を送っていた。 そんなある日のこと...
黄色いうさぎ さん 昭和36年、私たち家族は郊外に新たに建設された団地に引っ越した。 「夢の公団住宅」と呼ばれた憧れの団地。当時2歳だった私の記憶にはないが、両親は落選にもめげずに応募はがきを送り続け、やっと当選したのだという。 そんな夢の...
ぱんだ先生 さん 私のもっとも古い記憶は、サイフォンでコーヒーを淹れる母の姿かもしれません。 幻想的に揺らめくアルコールランプの炎。フラスコのお湯がポコポコと音を立ててロートへ上がっていったと思ったら、今度はコーヒーとして落ちてくる―。 幼...
sasami さん 高校入試が目の前に迫った中3の冬。 私は、受験勉強のラストスパートにかかっていた。 いわゆるすべり止めは出願せず、受けるのは本命の第一志望校のみ。それだけに、「落ちたらどうしよう」「確実に合格しなければ」という不安と焦り...
りんご さん もう半世紀以上も昔の話。 当時高校生だった私は、2つ下の妹と泊りがけでスキーに出かけた。大人の付き添いがない、姉妹だけの旅行は初めてだった。 まだスノーボードがない時代だから、ゲレンデはスキーヤー一色。 長いリフト移動の...
ぽんちゃん さん 数年前の冬、私は韓国へ行った。 その日は、人生で経験したことのない寒さ。最低気温は「マイナス15℃」を指し、韓国の友だちから「今日は今年1番の寒さだよ、運が悪かったねぇ」と同情されたほど。 ジャケットの上からさらに厚手...
みちょん さん 私の原風景のひとつは、「生まれ育った街の銭湯」だ。 子ども時代を過ごした実家の近くには、昭和を色濃く残す銭湯があった。 もちろん家に内風呂はあったけれど、銭湯好きの父親の「よ~し行くか!」という一声で、休日の夕方などに家族揃...
しわん さん 結婚から15年目を迎えた今も、夫とはとても仲が良い。 夫婦円満の秘訣は、2人のルールを持つこと。 ルールといっても、何も大げさなことじゃない。 1杯のコーヒーとともに、同じ時間を分かちあう。たったそれだけだ。 ...
ゆき さん 秘密基地のような理科準備室。 ぶっきらぼうだけど、やさしい先生。 アルコールランプとビーカーでつくるコーヒー。 中学生時代の学校生活で真っ先に思い出すのは、そんなちょっと風変わりな日常の風景。 修学旅行とか文化祭とか、大きな...