高校時代、親元を離れて寮生活を送っていました。
その寮はひとつの部屋に3学年が同居するのが習わしで、私が3年生の時のルームメイトは、2年生が1人と1年生が2人。学年は違えど、同室になった4人は妙に気が合い、毎日がまるでお祭り騒ぎみたいに賑やかでした。きっと周りからは、仲の良い姉妹のように見えていたと思います。
そんな私たちも、テスト前ともなると、しおらしく勉強モード。恒例の夕食後のおしゃべりタイムを封印して、それぞれが机に向かって教科書とにらめっこしていました。
「コーヒーでも飲んで、ひと休みしよっかなぁ~」
しばらくして誰かがつぶやくと、それを合図とばかりに、鉛筆を走らせるカリカリという音が一斉にストップ。そして、輪唱のごとく声が重なります。
「じゃあ私も」「私も」「私もぉ~!」
4人は順番に備え付けのポットのお湯でインスタントコーヒーを淹れ、回転椅子をくるりと回して、お互いの膝を近づけました。
コーヒー一杯のつもりが、一度始まったガールズトークは止まりません。
寮内で起こった些細な出来事、級友の噂話、好きな芸能人のこと、進路の悩み…。おしゃべりを我慢していたぶん、せきを切ったように話題があふれ出ます。
気付いた時には、もう夜更け。ポットのお湯は、すっからかんになっていました。
さて、テストの結果はどうだったかというと…。 お察しのとおり、全員が目も当てられない惨状でした。思い出すだけで、今でもプッと吹いてしまいます。
寝食をともにしながら、時にはふざけ合い、時には助け合ってきたルームメイトたち。私がホームシックにならずに寮生活を過ごせたのは、みんながいつもそばにいてくれたから。
コーヒーを飲むたびによみがえってくる、愛おしい青春の1ページです。
本エピソードは、AGF®パートナー ひまわり♪ さんの体験を基に執筆しました。
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