コーヒーの思い出エピソード
2021/08/02

放課後のドーナツショップで

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めめ姫 さん

「今日から期間限定メニューが食べられるらしいよ」
「わ、行こう、行こう!」
「ダイエットは明日からにするわ」

終業のチャイムが鳴ると、お約束のように始まるこのやりとり。
高校時代、気の合う友人2人と駅前のドーナツショップで放課後を過ごすのが楽しみで仕方なかった。

窓際のテーブル席でおでこを寄せ合い、手をたたいて、明日には忘れているような他愛のないおしゃべりで盛り上がる。もしかしたら、高校生活の中で一番愛おしい時間だったかもしれない。

その店を訪れるたびに私たちが必ず注文していたのは、「今だけ」という謳い文句がついたドーナツと、何杯でもおかわり自由のカフェオレだ。

片手にドーナツ、もう片方の手にマグカップ。両手をせわしなく動かしながら、思いついたことをポンポンと口にし、ものすごいスピードで会話が進んでいく。
クラスメイトの噂話、部活のグチ、昨日食べたスイーツの感想、進路の悩み。話題があちこちに飛んで、結論に辿り着かないこともあったけれど、そんなとりとめのなさも不思議と心地よかった。

「教室では話せなかったんだけど、実はね…」
「えーっ、ほんと?応援するよ!」
「ここだけの秘密だね」
ドーナツを食べ終えたところで、恋愛のハナシに突入するのがいつものコース。学校から離れた場所で交わす密談は、なんともいえず胸が高鳴った。例えるなら、先生や親が知らない隠れ家の鍵を得たような感覚だろうか。

「カフェオレ2杯目、いっちゃう?」
誰からともなく声があがる。それは、もっと話していたい時の私たちの合言葉だった。
3人揃っていそいそとカフェオレをおかわりし、マグカップを軽く掲げて笑い合う。そして、窓から射す夕陽でみんなの頬がオレンジ色に染まるまで、おしゃべりは続くのだ。

あれから時が経ち、私たちは大人になった。高校生の頃に互いに語った夢をそれぞれが実現させ、今もキャリアを積みつつ、ワーキングマザーとして充実した日々を送っている。

今度、久しぶりにあのドーナツショップに集まろう。年齢を重ねた3人は、甘いカフェオレじゃなくてブラックコーヒーを頼んだりするのかな。それでもいったんおしゃべりが始まれば、会わなかった時間を一足飛びに超えて、昔の私たちに戻れるはずだ。

本エピソードは、AGF®パートナー めめ姫 さんの体験を基に執筆しました。

 

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