コーヒーの思い出エピソード
2021/05/07

国境の町で出会ったコーヒー

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和泉のはるぼう さん

アメリカ西海岸の最南端に位置するサンディエゴに、会社の同僚3人と出張に行った時のことだ。

予定していた仕事を無事に終え、ようやくフリータイムができた最終日。私たちは、国境を隔てて目と鼻の先にあるメキシコの町・ティファナへ日帰り旅行に出掛けた。

サンディエゴから南に25キロ、わずか30分足らずのドライブ。陸路でのあっけない国境超えだったにも関わらず、一歩踏み入れた瞬間から雰囲気がガラリと変わる。

土産物屋や雑貨店がひしめきあう街の中は、かすかにほこりっぽい。どこからともなく聴こえてくる陽気な音楽に混ざって、スペイン語の人懐っこい呼び込みの声が響く。広場では、色鮮やかな民族衣装をまとった女性たちが伝統のダンスを披露していた。

アメリカとは、匂いも、言葉も、文化も違う世界が広がっていた。

太陽が傾き始めた昼下がり。私たちは、活気あふれるストリートの一角に佇むコーヒーショップでひと休みすることにした。
その店のコーヒーは、粉状に挽いたコーヒー豆と砂糖を鍋で煮出した、ちょっと不思議なものだった。フィルターなどで漉していないため、カップに注がれたコーヒーの中では、粉がマリアッチのリズムのように踊っていた。

「豪快で面白いね。こんなの初めてだよ」
少し戸惑いながら、素焼きのカップに口をつける。甘くて香ばしい味わいと一緒に、ザラザラジャリジャリした感触が舌に残った。
粉が沈むのをしばらく待ってから、水面に息を吹きかけて飲み口を確保しつつ、上澄みをそっと啜ってみる。
「…う~ん、上手く飲むのはなかなか難しいね」
お互いのぎこちない仕草が妙におかしくて、私たちは顔を見合わせて小さく笑った。

――コーヒーって本当に色んな飲み方があるんだなぁ。
エネルギッシュな国境の町で、コーヒーの奥深さをしみじみと感じた日だった。
きっと世界には、その町その場所の風土が育んだコーヒー文化が星の数ほどあるのだろう。

いつかまたどこかで、素晴らしい驚きに満ちた1杯と出会えますように。

本エピソードは、AGF®パートナー 和泉のはるぼう さんの体験を基に執筆しました。

 

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